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episode "IGNITE"

episode 04 :あえて選んだ不正解(2025.09.30 upload)

時間と共に、進化した音楽と向き合う苦しさは少しずつ緩和されて行きました。きっとそれは、海外で進化して行った音楽に「少しずつ日本も追い付いてきたから」だったんだろうなと、今となっては思います。もちろん歪みは大きかったけれど、年末の歌番組には韓国のアーティストが名を連ね、日本でも多くのグループが韓国式のオーディションで誕生し、その先で「2020年代の音楽を日本人全体が受け入れる」そんな空気が漂い始めました。​

「静岡にいたって誰にも負けない音楽を作るんだ」そんな私たちのプライドを守ってくれる出来事も重なりました。

北川悦吏子さんの脚本で描かれるTBSドラマ「夕暮れに、手を繋ぐ」の劇中歌を制作して欲しいという話が舞い込み、全力で挑んだ数ヶ月。何度も作り直して東京側とやり取りを重ねて、その曲がドラマで流れてエンドロールに名前を載せてもらった日。そして、プロデュースした映画音楽がマドリード国際映画祭で音楽賞にノミネートされたという知らせを受けた日。当然、まだまだ力不足を感じながらだったけど、少しずつ自信を取り戻していった2023年の春。

Jam9は結成20周年を迎えて「About Time」という曲を発表。

​そのままアコースティックツアーや20周年記念公演を発表して「a day in my life」を含むアコースティックアルバムLAYEREDを会場限定版でリリース。本来ならそのまま制作のペースを維持して正式なアルバムを目指すべきタイミングでしたが、正直に言えば「この20周年イヤーを終えた先でJam9が続いてる確証が無かった」です。だからこそ私たちが選んだものは、制作じゃなくライブでした。言葉にするとそれは「再開よりも再会を優先したかった」つまり応援してくれる人に会いたかったんです。会えなかった3年間、それでもJam9を支えてくれた人や、忘れずにいてくれた人と再会する方法ばかりを考えていました。アコースティックツアーLAYEREDは「思い出を積み重ねる」そして20周年記念公演REUNIONZは「同窓会」というタイトルで。我慢し続けた3年間を取り戻したかったんだと思います。

振り返れば、その選択は間違いじゃなかったと思います。私にとって音楽は「作れれば何でも良い」ものじゃなかったとコロナ禍が教えてくれました。作ったものを一緒に楽しんでくれる人がいて、初めて意味を持つんだと学びました。だからこそ、応援してくれる人ともう1度ステージで向き合う必要があって、それをメンバーやスタッフが尊重してくれた1年だった気がします。

ビジネス的には「不正解の選択だった」ことも理解しています。

アコースティックツアーも20周年記念公演も莫大な経費を投入してるのに全て入場無料。本来メインの売り物になるはずの楽曲制作もストップしていて「ギズモさんが事務所を潰そうとしてる」と社内で笑われてました(実際ホントに危なかったらしい)。でも、私たちに必要な1年でした。会いたい人に会えて、一緒に歌えて、その価値はお金では測れないものでした。

「自分たちの気持ちを整えなきゃ進めない」

その結果、コロナ禍明けのリスタートで大きく出遅れたけれど、それが出来ていなかったらきっと結成20周年を節目にJam9は終わってたと思います。焦り続けた日々に別れを告げて「焦らずに進む」そんな覚悟が持てた2023年でした。

そんな年の暮れに制作に挑んだのが「ONE FAMILY-feat.CLEEM MIKU-」です。

気付いてる人もいるかもですが、これが5年振りのレコード会社復帰作でした。コロナ禍が始まって県境を跨ぐなと言われ始めたころ「Jam9やミクちゃんに何もしてあげられなくて申し訳ない」と言ってもらった時、私たちは「自力で耐えて時を待つので気にせずいてください」とレコード会社に伝えていました。耐える自信があったわけじゃなく、迷惑はかけられないと思ったからです。ようやく復帰作、その制作にかける意気込みは全員、相当な物でした。

もう迷いは無くて、学んできたことを全て出し切るつもりで作った1曲。

EDM、ダブステップ、そしてK-POP。そこにJam9が培ってきたメロディーを絡め、年末年始を返上してレコーディング。ベストを尽くして完成した曲は、タイアップ先のエスパルスのサポーターやチーム関係者の皆様からも大きな反響が寄せられ、カラオケ企業からレコード会社に「アレンジデータを提供してほしい」と連絡が入りました。

でも、私たちは次の1年間、ONE FAMILYを越えられないという現実に苦しめられることになりました。

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© 2025 by Jam9. produced by united music.

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