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episode "IGNITE"

episode 05 : 復帰の選択と重圧(2025.10.02 upload)

2023年末。20周年記念公演の直前、実は大事な問題について話し合っていました。このままフェードアウトしてレコード会社を離れるのか、それとも復帰に向けて協議すべきか。

 

当たり前だけど、在籍させてもらえること自体が当たり前じゃないし、本当に有難い。ただ、私たちはコロナ禍のスタートから4年、静岡という遠隔地にいて事実上「レコード会社を離れていた身」であり、その間にレコード会社に一切の収益を生まないアーティストでした。そして戻ったとしても、他の在籍アーティストのように収益を生み出せないことだって分かっていました。在籍しているのは多くが元々の知名度を持っているYouTuberや声優さん、そしてアイドルやK-POPアーティスト。私たちのような「音楽だけで勝負するタイプ」はもう、業界全体を見渡しても相当減っていました。

「戻りたいと言うだけ迷惑になる」

そんな結論が濃厚だったころ、数年振りにレコード会社から連絡が入りました。「ウェブサイトをリニューアルするのでJam9とCLEEM MIKUの新しい写真あったら送ってください!」と。しかも、連絡をくれたスタッフさんはコロナ禍の間にレコード会社の社長さんになってました。

とにかく連絡を貰えたことが嬉しかったし、こんなに長いこと一緒に仕事をしていなかったのに「所属アーティストだと認識し続けてくれていること」に感動しました。きっと私たちは、ドリーミュージック(所属レコード会社)じゃなかったらこんなに続けられなかったと思います。こういうレコード会社に入れてもらえたから、今も続けていられるんだと改めて感じました。「戻りたい」とかじゃなかったんです。ずっと在籍でした。

すぐに東京へ行って会話して、以降のリリースから復帰することに。直近で制作していた「ONE FAMILY-feat.CLEEM MIKU-」そしてCLEEM MIKUの「ORANGE WAVE」をデジタルシングルで同時発売することを決定。加えて私たちはその先で、Jam9ではなく「真っ先にCLEEM MIKUのメジャー2作目リリース」を選択しました。理由は「コロナ禍で最も悲しい想いをさせてしまったアーティスト」だったから。2019年にデビューして半年で全てがストップ、ワンマンライブを含む全ての予定をキャンセル。このまま終わってしまったらダメだと思っていたんです。レコード会社に復帰できたこのタイミングで、私たちには「CLEEM MIKUで取り戻すべきもの」がありました。

2024年の正月早々に事務所の中でミーティングを重ね、制作がスタート。そこからの半年間はもう、何をしていたのか思い出せないくらいの忙しさでした。まだ雪が降るころにティザー映像の撮影があったり、すぐにホール単独公演の打ち合わせも始まって。ようやく落ち着くかと思いきや、春からは「後輩たちと東名阪エリアを回るイベントツアー」の構築もスタート。9月にCLEEM MIKUのホール単独公演が終わるまで、ひたすら働き続けていました。

よく「後輩たちのことに一生懸命でJam9を疎かにしている」とネットで書かれます笑。

でも私たちは小さなチームの中で、後輩たちがどれだけ私たちJam9を支えてくれているのかを知っています。

2022年に有観客と生配信のハイブリッドで12ヶ月連続のワンマンライブに挑みました。その全公演、検温と消毒を対応してくれたのがヤナギアオという後輩シンガーで、約2時間半の生放送を全て管理してくれていたのがCLEEM MIKUでした。翌2023年のアコースティックツアーも20周年記念公演も、会場リサーチから機材や告知の段取りまで、後輩たちが協力してくれていました。なぜ全力で協力してくれるのかと問えば必ず「それ以上にやってもらっている」と返ってくる環境の中、コロナ禍明けに私たちがすべきことは「CLEEM MIKUのメジャー復帰盤/後輩たちを連れて回るツアーUNIEX」そこに迷いは無かったです。

と言いつつも、常に頭の中には「Jam9のメジャー復帰盤」が存在していました。故に2024年、空いた時間は全てJam9の制作に充てていましたが、すべての曲が私たちの気持ち1つで制作中止になるという日々を繰り返して。振り返ればその理由は理解できるんです。私たちにとってONE FAMILYという曲が理想を越える仕上がりだったことで、ハードルが強烈に上がっていました。その先でどんな音楽を作るのが正解なのか、分からなくなっていたんだと思います。

意味のない衝突を繰り返しました。もっとこういう音楽を作るべきだ、いや必要とされてるのはこういう曲だろ、みたいな。意味が無かったと思うのは「話し合っても答えが無かったから」なんだけど、私たちは真剣さの裏側で、きっと相当なプレッシャーを抱えていたんだと思います。5年かけて音楽を学び直してきた覚悟も、ONE FAMILYを作り出せたという自負も、そして数年振りのメジャー復帰という跨ぐべき境界線も、実は抱えきれないくらい重たい物だったんだろうなと。

2024年の末、私たちは事務所内でスタッフさんも交えて話し合い、1つの結論を出しました。

「来年必ずJam9でアルバムをリリースする」

もしそれが成し得なければ、もう終わりで良い、と。

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