
episode "IGNITE"
episode 06 : やってきた勝負の1年(2025.10.24 upload)
年が明けて2025年。勝負の1年が幕を開けました。
私たちは4ヶ月連続の配信シングル1発目にあたる清水エスパルスのタイアップ楽曲「HISTORIA」を制作しながら、どうやってライブ等の活動を抑えて制作に時間を割いて行くかを考え続けていました。具体的には、春以降のイベント出演依頼をお断りしたり、自分たちで組むイベントも「秋までお預け」という形に。
その結果、5月頃にはもう衝撃の事実が顔を覗かせます。
「事務所の収益が無くて危ないらしい」
Jam9が表立った活動をセーブしている間、ZEZTという後輩グループは動かしていたけれど新人だったので「プラスマイナス0を目指す戦い」で先に大きな経費を使っている状態。そして商品の販売はほとんどCDショップが担っていて「清算は夏」で事務所にお金が戻るのは先の話。もっと言えば秋に控えている大型公演も「経費だけが出て行く無料開催イベント」本当にJam9を止めていて大丈夫なのかという議論が事務所内で続いていました。
口にしなかったけれど、スタッフさんたちは緊迫してたと思います。
そんな緊張感のあった春、私たちはアルバム発売についてレコード会社との調整に追われていました。
先行で4ヶ月連続のデジタルリリースがしたい。
その先でアルバムを発売したい。
レコード会社は、ほぼ全ての希望を叶えてくれました。きっと私たちがこのアルバムに「人生をかけている」ということが伝わっていたんだと思います。そんなに大きな売上を出せるアーティストでもないのに、申し訳ないくらい協力してくれました。
まとめると、この期間に私たちはただただ、自分たちの恵まれた環境に改めて驚いていて。
事務所もレコード会社も「やりたいようにやれば良い」と言ってくれて。
お金のことも「気にしなくて良い」と言ってくれて。
ここで勝負できなかったら、それは甘えだと思いました。全力を尽くすことでしか周囲に恩返しできない、とにかくアルバムの発売日を目指して走ろうという気持ちを胸に、楽曲制作やレコーディングを重ねる日々。大変だったけれど、それはとても幸せな時間だったと思います。
作ったことのない音楽に挑んだ「HISTORIA」
Jam9らしさを見つめ直した「咲かない花」
目指すべき音楽の形を模索した「Fleeting」
順を追って、何かを確かめるように1つ1つ曲を作って行きました。この3曲で私たちは少しずつ「この先のJam9がどんな音楽を描いて行くべきか」を見定めていたんじゃないかと思います。
(ラジオ出演等で話していた兄弟喧嘩はFleeting~追い風の時期です)
そして迷いながらもたどり着いた「追い風」で、探していた答えのしっぽを掴んだんだと思います。
そこからの制作にはもう、迷いはありませんでした。
何かに取りつかれたみたいに鍵盤に向かって弾き続けて、作っては録ってを繰り返して。8月の後半はほとんどスタジオで過ごして、同じご飯屋さんで毎日ひたすらテイクアウト。今でもすぐ味が思い出せるくらい、ずっと同じものを食べながら「より良いものを作ろう/1分でも多く時間を使おう」みたいな夏。あまりにも夢中で、そんな日々はあっという間でした。
そして気付けば今に至って。
アルバムは無事に発売されて、明日から怒涛のライブスケジュールです。
6年間、その日々は「1つも無駄じゃなかった そう思った」そして「積み重ねた苦しい日々がきっと背中を押してる」そんな風に感じている今です。苦しかったけど、私たちの歴史において特別な時間でした。きっとこの先でまた迷うことはあるだろうけど、この山を乗り越えられた自信は未来に繋がってると信じています。
長らくお読みいただき感謝してます。
もう1度だけ番外編で、新曲たちについて追って綴りますね。