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episode "IGNITE"

episode EX : それぞれの曲に込めた想い(2025.10.27 upload)

01 : IGNITE

最初に収録しているけれど、制作したのは「1番最後」だったIGNITE。ライブのSE(イントロ)にできるように、そしてCDで聴いてくれる人が再生直後にワクワクするようにと考えました。目指したのは、壮大なハリウッド映画のトレーラー(宣伝)みたいな音楽です。元々2024年のライブSEがそういう構成だったこともあるんだけど、その精度を高めようと。でも実は当初「声を入れる必要は無いんじゃないか」と思っていて。作って行く過程の中でメンバー間で話し合い、最後の最後で声を入れるという話になったのでジャケットの修正で様々なセクションにご迷惑をおかけした1曲でもあります。結局、ミックスの締切日という「土壇場」で歌詞を書いてレコーディング~一気に編集するというギリギリの制作でした。完成した音源を聞くと、6年間の苦しかった日々が過ぎて光が射してくるみたいな、そんな構成になっていて自分たちでもお気に入りです。

02 : NO LIMIT

「There's no limit さぁはじめよう」きっと自分たちに言ってあげたかった言葉なんだろうなと思います。6年間、理想に届かない苦しさを感じながら、どうにかしてそれを乗り越えて行こうと藻掻いてきた日々だったから。積み上げたって無理と語ってそこから去って行くの?Why don't keep?という歌詞があるんだけど、それすらきっと自分たちが感じてきた「もう無理かもしれない」を越えて行こうという決意だったんだろうなと。今回IGNITEというアルバムを出すにあたって、絶対に作らなきゃいけなかった決意表明の1曲です。リリース直前、完成した音源を聴きながらイシノユウキがポロっと「NO LIMITのオケは良く出来てる」と言ってました。力強いデジタル音を真ん中に、そしてJam9のアイデンティティーでもあるピアノを少し高めの位置で弾いて、両方あるから成立するアレンジを目指すという初めてのアプローチ。新しい世界が見えたような気がしています。

03 : 追い風

「リード曲を作ろう」だとか「次の代表曲を作ろう」と思っていたわけでは無いんです。でも、アルバムを目指す過程で少しずつ、どんなものを作るべきなのかが見えてきたタイミングで作ったのがこの曲でした。ミックスの空間演出だとか今っぽさと懐かしさの混ぜ具合だとか、そういう小難しい話はもういらない気がしてて。ストレートに曲の持つポジティブな雰囲気が上手く歌詞とハマった楽曲になったと思っています。作り始めた際、サビ頭の「追い風」の部分、実は歌詞をどうしようか悩んで何時間も制作が止まったのを覚えています。ここに追い風という言葉を選んだことで曲の方向性が固まったんですが、選んだ言葉が違っていたら曲も全く違うものになっていたんだろうなと。今は「追い風」という言葉が出てきてくれて本当に良かったと思うし、多くの人に「Jam9の新しい代表曲だ」と言ってもらえるようになりました。

04 : Morning Light

アルバムの制作にあたって「どんな曲を作るべきか」プロデューサー吉田と随分やり取りを重ねましたが、その中にあったテーマの1つ「始めた当初の音楽を今の実力でブラッシュする」に挑んだ1曲です。この6年間、新しい音楽を追求する過程で失ったものを取り戻す、みたいな意味があったんだろうなと思います。思えばインディーズ時代、こういうジャズを混ぜたヒップホップトラックを頻繁に作っていましたが、たいして音楽を知らないくせに20代前半でよくやってたなと。今も別に実力が足りてるとは思っていないけど、しっかり当時の雰囲気を踏襲しながら、20年かけて成長した自分たちを見せられるような曲に仕上げられたんじゃないかと思っています。お気に入りのフレーズは「上手く行かなくたって下向かないで頑張る大人になったよ」です。誰に言ってるんだろう?が重要だと思ってて。思い浮かぶ顔はきっと、聴いた人にとっての大切な人なんだろうなと思ってます。

05 : CIDER.

イントロのギターフレーズをDAW(作曲ソフト)に入れ込んで、それを何度も繰り返し聴きながら展開を構成して行った楽曲です。Jam9らしさの1つに「ロックのDNA」は絶対にあると思っていて。そもそも結成当初はギターとベースを弾きながらだったし、出身の畑はロックだと今も思っている中、最近ずっとロック感のある曲を書いてなかったよねと。久しぶりだったので悩みながらではありましたが、完成後にリハーサルで試しに歌った際「あぁJam9だね」って思いました。歌詞は自動販売機がテーマだけど、思い付いたのはコンビニの棚での出来事でした。毎回同じモノ買ってるなと。そこから色々考えて行く中で、人は何かを始める際「成功しなきゃ」と思うけど、自販機の前で「当てなきゃ」と思ってる人は1人もいないよなと。当てるより、何を選ぶか楽しんだほうが正しいよねっていうメッセージが曲に落とし込めたかなと思ってます。

06 : 咲かない花

人生において状況や条件はみんな違うのに、今まで作ってきた曲はそれを無視していたんじゃないかと思いました。「今は元気な曲が聴けない」というSNSの投稿を見かけて、何かに気付かされて作った1曲です。咲かない花というタイトル自体が発してる印象はネガティブなものかもしれないけれど「咲かなきゃ価値がない」わけじゃないよねと思って。これは前曲のCIDER.でもテーマになっているけど、成功や失敗っていうのは他人の断片的な判断で、本人にはそれより遥かに長い「過程」があるわけで。実はその過程が人生において本当に意味あるものだっていうメッセージが込められたら良いなと思って作りました。サウンド感やミックスも凄く気に入ってるし、今っぽさの中に色濃く「ロック畑出身のJam9らしさ」を表現できてる1曲だと思ってます。

07 : Rewrite

リリース後、あまりにも多くの人からサイン会やラジオのメッセージ等で「この曲が良い」と言ってもらい、私たちはとても驚いています。進化した音楽を捉えて吸収するっていうミッションを6年やってきましたが、それがリスナー皆様に受け入れてもらえないんじゃないかと思い悩んできたというのをここまでのエピソードでも書きました。で、この曲はIGNITEに収録されたアルバム曲では最も「今っぽい音楽」なんです。この曲は微妙な反応かもだけど、Jam9の進化を示すためにアルバムには入れたいという感じだったので、予想を覆されて全員で「...???」という状態。でも、未来に向かってJam9の音楽をRewriteできたのかもです。周りに示される「私らしさ」を自分の手で塗り替えようというメッセージが込められた1曲。皆さんの耳にはどう聞こえていますか?

08 : HISTORIA

ミックスの答えが見えなくて随分苦戦したという思い出が残った1曲。挑戦したのはエピックミュージックと呼ばれるジャンルで、タイアップ先の清水エスパルスから「今までに無い雰囲気で」と言われて選択したジャンルでした。未だかつて所謂ドラムを使わずに作った曲なんて無くて、故にミックスで悩みはしたんですが多くの学びがありました。ドラムの代わりに鳴っているのはシネマティックインパクト、多分これ吹奏楽とかで「大太鼓」と呼ばれてる物だと思うんですが、それを何種類か交互に並べて、そこにエスパルスのアイデンティティーであるラテンパーカッションを絡めて構成してます。歌詞はサポーターから応募のあった「シーズンソングに入れたい言葉」だけで構成してて、静岡愛に溢れててお気に入りです。

09 : Fleeting

「進化した音楽をJam9らしく描く」プロデューサー吉田と私たちメンバーの間でようやく見つけ出した「糸口」がこの曲でした。人間の声を加工してバックトラックの空間演出をするっていうアプローチ等、たくさん話し合いながらの制作でした。ちょうどその制作期間中に実家の猫「ミュー様」が亡くなったこともあって、限られた時間をどう生きるのかというのが歌詞のテーマになりました。でも、未だにその答えは分かっていないんですよね。限られた時間、全力を尽くして走るのが正解なのか、1分1秒を大切な誰かと大事に過ごして行くべきなのか等々。でも分かっているのは「いつか終わりが来る」ってことなんです。今回のアルバムはホントに「答えの無い問い」みたいなものが多く描かれてるんですが、この曲もその1つなのかなと思ってます。

10 : INCOMPLETE

アレンジはとにかくシンプルに、アコースティック気味のサウンドにベタなコード進行でトロピカルハウスを構成するという挑戦でした。きっとライブの中で重要な役割を担ってくれる、そういう曲に仕上がったと思っています。2番のラップパートがとても気に入っていて、ただ「これ絶対に覚えられないわ…」と認識しながら書きました。恋をして初めて痛みに気付くだとか、守られることで無力さを学ぶだとか、深い表現だなと。でも言葉の並びが覚えられないんです、ライブが怖いです。一番こだわったのは、シンセフックの代わりに録ったコーラスパート(イントロから鳴ってる声)。どのくらい弱く歌うかとか、どのタイミングで音程を持ち上げるか等々、何度もレコーディングや編集を重ねました。音も歌詞もメロディーも全て「人間らしさ」にこだわっている、そんな1曲です。

11 : ONE FAMILY-feat.CLEEM MIKU-

過去を遡っても、こんなに完成された楽曲はJam9の中に存在しないんじゃないかと思っています。同じコードでメジャーとマイナーを行き来させながら、ワブルベースとサブベースを混ぜてサウンド感をまとめたダブステップ。目指した場所にしっかり着地していて、完成した音源を聴いて自分たちで驚いた1曲。故に以降1年間、これを越えられなくて道に迷うことにもなった楽曲ではありますが、アルバムが完成した今は「挑んで良かった」と思っています。実は以降、ダブステップをいっぱい作っていて「いやこれが正解の道なのか?」みたいになったんですよね。大事なのはダブステップ系アーティストになることじゃなくて、新しい音楽をJam9に取り込むこと。それに気付くのに時間がかかりました。ただ、胸を張って言いますがこの曲はホントに自信作。というか、自信を失っていた自分たちを救ってくれた曲なんだと思います。

12 : 曖のうた

とにかくこだわりました。プロデューサー吉田恵に「何かが足りない」と言われて修正を重ねてきた1曲です。Jam9の絶対的アイデンティティーであるピアノバラードを、今っぽい音楽にできるかが最初のテーマでした。ピアノとアコースティックギターの単音を逆再生させて絡めるとか、アコースティックとデジタルのパーカッションをバランス取りながら絡めるとか、いろんな方向からサウンドで今っぽさに迫った1曲です。そして歌詞は徹底的にこだわって。保護した野良猫に長生きしてほしくて、DHAが良いと聞いて煮干しを毎日何本か与えているんですが、命って何だろう…と。愛情の有無で命の重さが変わる、そんな不条理を落とし込んだ1曲になっています。SNSには書いたんですが、Ⅾメロの「迷い込んだ熊を駆除しようとか」以降のパートがあまりにも重くて、途中で泣けてきて歌えなくなるっていう真夜中のレコーディングを思い出します。結局「命とは」の答えは分からないけど、愛する人が笑ってることが救いなんですよね。そんな気がして最後に赤ちゃんの笑い声を入れてアルバムを締めました。

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長らくお付き合いをいただき本当にありがとうございました。サーバーの負荷を考えて、年内くらいでエピソードは消えると思いますが、6年振りにリリースできたアルバムを皆さんに楽しんでいただけたらと思っています。そしてこの先もきっと私たちは悩みながら音楽を作り続けて行くと思うので、どうか見守っていてください。

Giz'Mo

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